こんにちは。UniqueGood体験トレンドレターです。今回は、現実と仮想の境界を越えた体験についてお話ししたいと思います。「メタバース」でしょうか?いいえ、違います。「ARG(代替現実ゲーム)」です。ARGという言葉を初めて聞く方もいらっしゃると思いますが、名前の通りゲーム要素が強いものの、最近ではゲーム、エンターテインメント、観光など様々な分野のマーケティング手法として活用されることがよくあります。
まず、ARGが何なのか簡潔に説明していきます。
ARG(代替現実ゲーム)とは何か?
「ARG(Alternate Reality Game、代替現実ゲーム)」とは、仮想の出来事が現実で起こったと仮定し、参加者がその出来事を解決するタイプのゲームを意味します。仮想の出来事ですが、参加者にリアリティを与え没入を誘導するためには、出来事を構成する情報を精巧に組み立てる必要があります。
例えば、Realworldのコンテンツ「聖都学院」の場合、学生の日記帳やアプリ、ホームページなど様々な要素でリアリティを演出しました。特に仮想の魔法学校「聖都学院」のホームページには、お知らせ掲示板や教職員紹介メニューなど、実際の学校にありそうな内容を配置することで、参加者は実際に「聖都学院」が存在すると感じることができ、この魔法学校で起こるミステリアスな事件に没入できるのです。
そして、このような情報の中には事件を解決する手がかりが隠されています。ARGを体験していると、普通の画像の色を反転させたら暗号が現れたり、意味のない文字列を並び替えたらログインパスワードがわかったりといった形で手がかりを発見することが多いです。いわゆる「伏線」と呼ばれる手がかりをどのように配置するかによって、参加者の没入度が変わってきます。
このようにARGは現実と仮想の境界を曖昧にしながら秘密を解き明かしていく面白さを提供し、人々の好奇心を刺激してバイラルしやすい素材でもあります。そこで、マーケティング手法としてもよく活用されるARGの事例を見ていきましょう。
ゲーム世界観に隠された秘密を解き明かせ。ゲーム「Poppy Playtime」ARG
暗い部屋の中でコンピューターのモニターが点いています。モニターの中のキャラクターたちは明るく笑っていますが、どこか奇妙に歪んでいる様子です。このコンピューターの中にはどんなファイルがあるのでしょうか?そして、そのファイルを開くためにはどうすればいいのでしょうか?そして、その内容は何なのでしょうか?この秘密を参加者たちが解決しなければなりません。
「Poppy Playtime」は、アメリカの動画YouTuberであるZAMination ProductionsがMob Entertainmentという会社を設立して制作したホラーゲームです。1作目は2021年10月13日に公開され、その後新しいチャプターや外伝的なゲームがリリースされる前に継続的にARGを実施してプレイヤーの関心を維持し続けています。このARGは2023年冬の「Chapter 3:Deep Sleep」発売と連動して、ゲーム内に隠された設定やストーリーを解き明かす形式で進行されました。
コンピューターログインのためのパスワード探索から、ファイルごとに設定されたパスワード解読まで、参加者はウェブサイトや動画の至る所に隠されている手がかりを探り出さなければなりません。苦労してパスワードを見つけて画像ファイルを取得したものの、肝心な部分が削除されていても、行き止まりに到達したわけではありません。例えば、画像の明度を最大に変換すると隠された手がかりが現れます。今度は別の手がかりを探しに出かけなければなりません。
この「Poppy Playtime」のARGは2023年12月に終了しましたが、ARGという形式を通じてゲームの世界観に隠された手がかりを公開し、数多くの参加者の支持を獲得しました。ARG要素が挿入されたChapter 3のティザー動画の再生回数が1,400万回に達したことから、ゲームに興味のない一般人にもアピールできたといえるでしょう。
映画「コンクリート・ユートピア」:ARGとポップアップストアが融合したトランスメディア・マーケティング
ゲームだけでなく、興味深い世界観と設定を活用する映画業界でもARGは良いマーケティング手段として利用できます。2023年夏に公開された映画「コンクリート・ユートピア」は、大地震で一夜にして廃墟となったソウルで唯一崩れなかった「皇宮アパート」を舞台にしています。そして映画公開と共に、Realworldが企画した面白いプロモーションが実施されました。唯一の避難場所である皇宮アパートに入るため、オンラインホームページで「皇宮アパート入居申請」ARGが実施されたのです。
皇宮アパートのホームページには、他のアパートコミュニティのようにお知らせ、住民自治会などのメニューで構成されています。実際にありそうな構成とビジュアルにより、参加者は皇宮アパートが実在するかのように感じることになります。そして登場人物と会話するようにミッションを遂行すると、入居申請の暗号を得ることができます。
そしてオンラインARGで終わることなく、オフラインポップアップストアに繋がるトランスメディア・マーケティングの構成を取りました。入居申請を完了した人の中から抽選で試写会チケットを配布し、試写会会場にポップアップストアを設置してオンラインからオフラインへ自然に誘導したのです。
ロッテシネマワールドタワーで実施されたポップアップストアでは、試写会当選者だけでなく、ポップアップストア限定のコンテンツを楽しむために数多くの人々が押し寄せました。結果データによると、オンラインARGには約2万人が、オフラインポップアップストアには約3,000人が訪問する成果を上げました。
ARGをマーケティング手段として活用する理由とは?
様々な企業がARGをマーケティング手段として活用する理由は何でしょうか?柔軟な運営が可能だからです。予算が不足している場合なら、ウェブページのみを活用してキャンペーンを実施できます。ウェブサイトを開設する時間と予算さえ不足している場合は、InstagramやX(旧Twitter)、ブログなどのSNSプラットフォームを活用することもできます。逆に予算があれば、俳優が登場する実写映像やパズルのようなインタラクティブな要素を活用することもできます。
そして、ARGを通じて流入した参加者を自社のサービスに転換できる点も利点です。Realworldの「コンクリート・ユートピア」ARGの事例も、自然にオフラインポップアップストアに参加者を誘導した事例でした。
もちろん注意すべき点もあります。ARGをマーケティングに活用しようとするのに、あまりにも秘密裏に進行すると、参加者が企業プロモーションだと認識できない可能性もありますよね?そのため、マーケティング用途でARGを実施する場合、キャンペーン開始と共にプレスリリースを配布するなど情報を提供することも多いです。最近では運営陣が「パペットマスター」の役割を担ってARGを進行することもあるので、参考にしてください。
Realworldは2024年3月、オフライン空間「Realworld 聖水」のコンテンツ「レッドメア・ミステリーホテル」の広報のため、ゲームの主人公であるエイミーとジョンが登場する「エイミー&ジョン探偵事務所」というARGを運営します。探偵コンビが運営する探偵事務所のホームページに参加者のための手がかりを隠しておき、これらの手がかりを組み合わせると「レッドメア・ミステリーホテル」の割引クーポンを獲得できるということです。
今回は現実と仮想の境界を行き来する特別な体験、ARGについて学びました。解けない謎をお互いに共有し、問題を解決するたびに感じる面白さが最大化されるという点で、ARGの生命力が持続するのではないでしょうか。人々の好奇心を刺激して自発的な参加を促すARGの魅力が、これからも続くことを願います。